第一原理分子動力学シミュレーションが拓く共有結合性液体の超高圧物性

講師 大村訓史(広島工業大学)
日時 2019-03-27 14:00–15:00
場所 山形大学小白川キャンパス 理学部13番教室


アブストラクト 液体中の原子は活発に動いている.「共有結合性液体」の興味深い点は,原子同士が共有結合という非常に強い結合で結ばれているにも関わらず,原子が拡散するという点である.実はこの「拡散するためには強い結合を切らなければならない」という原子拡散に関する制約が,共有結合性液体が液体ナトリウムなどの液体金属とは全く異なる高圧物性を示す要因となっている.このような液体の物性研究において、原子配置の時間発展とそれに伴う電子状態の変化を同時に追うことができる第一原理分子動力学シミュレーションは大いに力を発揮してきた。本セミナーでは、近年の第一原理分子動力学シミュレーションによって新たに見出された共有結合性液体の高圧物性や液体半導体の特異な圧力誘起構造変化を原子レベルのミクロな視点から紹介する。