研究室紹介
笠松研究室は、2018年12月に山形大学に発足した「計算物質・材料科学」の新しい研究室です。計算物質・材料科学とは、物質をコンピュータの中で再現(シミュレーション)し、原子・電子の振る舞いを「観察」することで様々な物性の微視的起源を解明していく学問分野です。その中で当研究室では、燃料電池材料などの工学的応用を指向した研究から、極低温分子結晶の相転移挙動など、基礎学問的興味に基づいた研究まで、幅広い研究テーマを手がけています。最近では特に、理想結晶では現れない種々の不規則性に由来する機能物性に着目しています。その解明に向けて、情報科学と従来の計算物質・材料科学を融合し、スーパーコンピュータを効率的に利用するためのソフトウェア開発を進めています。同時に、実験研究者との共同研究も積極的に推進しています。
メンバー
笠松秀輔 准教授 (PI)
経歴
2004年3月
国立筑波大学附属高等学校卒業
2008年3月
東京大学工学部マテリアル工学科卒業
2010年3月
東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 修士課程修了
2012年9月
東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 博士課程修了
博士論文題目: First principles analysis of materials properties modification at heterointerfaces
指導教員:渡邉聡教授、多田朋史特任准教授
博士論文題目: First principles analysis of materials properties modification at heterointerfaces
指導教員:渡邉聡教授、多田朋史特任准教授
2010年3月 – 2012年9月
日本学術振興会特別研究員DC1
2012年10月 – 2012年11月
日本学術振興会特別研究員PD
2012年11月 – 2018年11月
東京大学物性研究所物質設計評価施設 助教
2018年12月 – 2022年3月
山形大学学術研究院(理学部担当) 助教
2022年4月 –
山形大学学術研究院(理学部担当) 准教授
2019年2月 –
ISSPフェロー
所属学会
日本物理学会、日本応用物理学会、日本表面真空学会、固体イオニクス学会
学会・委員会等活動
- 第17回固体イオニクスセミナー世話人、2023年8月 [HP]
- NEDO燃料電池・水素技術開発ロードマップ(FCV・HDV用燃料電池)40年シナリオWG、2022年11月 ~ 2023年2月 [報告資料等]
- 日本表面真空学会、電子ジャーナル制作小委員会、2016年04月 ~ 2022年3月
- 日本物理学会 領域11運営委員、2019年4月 ~ 2020年3月
- MateriApps開発チーム
趣味など
カメラ・写真、ドライブ、スキー、ゴルフ、柔道
学生
松谷健太(博士後期課程)
泉琉磨(学部4年)
荒川泰政(学部4年;臼杵研究室と連携指導)
佐藤朱亜留(学部4年;臼杵研究室と連携指導)
卒業生
三好南々花「ZnCl2ガラスの中距離秩序—パーシステントホモロジーを用いた液体状態及びガラス状態構造解析」(2022年度卒業研究)
佐藤伊織「第一原理分子動力学シミュレーションによるSc/YドープBaZrO3のプロトンダイナミクス解析」(2022年度卒業研究)
中西章尊(プロジェクト研究員)
高橋和樹「AgI-As2Se3ガラスの構造と超イオン伝導性-第一原理計算および機械学習力場による分子動力学解析」(2021年度修士;臼杵研究室と連携指導)
松谷健太「GeO2ガラスの圧力誘起構造転移—実験データと機械学習分子動力学法による解析」(2021年度修士;臼杵研究室と連携指導)
永井那樹「粒径比が及ぼすナノ粒子自己組織化への影響の大規模分子動力学シミュレーション」(2021年度卒業研究;臼杵研究室と連携指導)
西下允人「YドープBaZrO3のプロトン伝導性を向上させるドーパント配置のパーシステント解析」(2021年度卒業研究;臼杵研究室と連携指導)
菊地惟丈「古典分子動力学シミュレーションによるナノ粒子の自己組織化の解析」(2020年度卒業研究;臼杵研究室と連携指導)
中井敦也「Ge-Se 系ガラスにおける圧⼒誘起構造転移の第⼀原理分⼦動⼒学解析」(2020年度卒業研究;臼杵研究室と連携指導)
高橋和樹「イオン伝導性AgI-As2Se3ガラスの第一原理ダイナミクス解析」(2019年度卒業研究;臼杵研究室と連携指導)
松谷健太「GeO2ガラスにおける圧力誘起構造転移の第一原理分子動力学解析」(2019年度卒業研究;臼杵研究室と連携指導)
研究助成(代表あるいは分担)
- 文部科学省「富岳」成果創出加速プログラム(2023年~2025年) (分担)
- 研究課題:「物理-化学連携による持続的成長に向けた高機能・長寿命材料の探索・制御」(代表:館⼭佳尚)
- 文部科学省 科学研究費 学術変革領域研究(A) (2023年~2027年) (分担)
- 研究課題:「1000テスラ科学の推進」(代表:松田康弘)
- 文部科学省 科学研究費 学術変革領域研究(A) (2023年~2027年) (分担)
- 研究課題:「1000 T非摂動磁場効果の理論」(代表:岡隆史)
- 文部科学省 科学研究費 挑戦的研究(萌芽) (2023年~2024年) (分担)
- 研究課題:「革新的リチウム電池負極を対象とした工業材料インフォマティクスの萌芽」(代表:星健夫)
- 文部科学省 科学研究費 新学術領域研究(研究領域提案型) (2022年~2023年) (代表)
- 研究課題:「第一原理基統計熱力学計算による二次電池界面の空間電荷層解析」
- JST 創発的研究支援事業 (2021年~2027年) (代表)
- 研究課題:「不規則材料系へのマテリアルズインフォマティクスの展開」
- NEDO 「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」(2020年~2022年) (分担)
- 研究課題:「超高電位を目指した酸化物カソードの開発・先端計測と理論解析による触媒能発現機構の解明」(代表:冨中悟史)
- 文部科学省 科学研究費 基盤研究B (2020年~2022年) (分担)
- 研究課題:「不規則性が加速する固体内高速イオン伝導機構の解明と革新的材料創製への展開」(代表:臼杵毅)
- 文部科学省 科学研究費 新学術領域研究(研究領域提案型) (2020年~2021年) (代表)
- 研究課題:「統計物理・第一原理計算連携シミュレーションによる蓄電固体界面の熱力学解析」
- 文部科学省 科学研究費 若手研究 (2019年~2022年) (代表)
- 研究課題:「第一原理配置サンプリング計算による高ドープ固体電解質のドーピングスキーム構築」
- 文部科学省 平成30年度 卓越研究員
- 研究課題:「物質・材料中の不規則性に対応するマテリアルズインフォマティクス技術の確立」
- NEDO 固体高分子形燃料電池利用高度化技術開発事業 (2015年~2019年) (分担)
- 研究課題:「電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立/酸化物系触媒の革新的高機能化のためのメカニズム解析」(代表:太田健一郎)
- 文部科学省 科学研究費 若手研究(B) (2015年~2018年) (代表)
- 研究課題:「酸化物界面における誘電応答変調の第一原理解析」
- 文部科学省 科学研究費 研究活動スタート支援 (2013年~2014年) (代表)
- 研究課題:「テンソル分解法を用いた高精度第一原理計算手法の開発」
- 文部科学省 科学研究費 特別研究員奨励費 (2010年~2012年) (代表)
- 研究課題:「固体電解質を含むバイアス印加多相界面におけるイオンダイナミクスの第一原理解析」
その他プロジェクト
- 「富岳」成果創出加速プログラム・富岳電池課題(2020年~) (協力者)
- サブ課題B-1:「燃料電池の電極界面反応」(研究代表者:東京大学 杉野 修)
- 科学技術振興機構 CREST研究領域「実験と理論・計算・データ科学を融合した材料開発の革新」(2019年~) (研究参加者)
- 課題:「実験と計算科学の融合による革新的プロトン伝導性無機化合物の創製」(研究代表者:九州大学 山崎 仁丈)
- 東京大学物性研究所スーパーコンピュータ共同利用 ソフトウェア開発・高度化プロジェクト [Link] (2019年) (提案者)
- 課題:「拡張アンサンブル法・第一原理計算結合フレームワークの高度化」
- 文部科学省フラッグシップ2020プロジェクト重点課題5「エネルギーの高効率な創出、変換・貯蔵、利用の新規基盤技術の開発」(課題責任者:岡崎進)(2015年~2019年) (業務参加者)
- 研究課題:サブ課題B「エネルギーの変換・貯蔵 - 電気エネルギー」(責任者:杉野修)
- 科学技術振興機構 CREST研究領域「超空間制御に基づく高度な特性を有する革新的機能素材等の創製」(2015年~2020年) (研究参加者)
- 課題:「界面超空間制御による超高効率電子デバイスの創製」(研究代表者:東京工業大学 一杉太郎)
- 科学技術振興機構 CREST研究領域「微小エネルギーを利用した革新的な環境発電技術の創出」(2015年~2020年) (研究参加者)
- 課題:「高出力環境発電のための革新的エレクトレット材料の創成」(研究代表者:東京大学 鈴木雄二)
計算機
- 研究室所有
- Intel Xeon Gold 6140 (18 cores, 2.3 GHz) × 2/node × 3 nodes with Intel Omni-Path Interconnect (108 cores in total)
- Intel Xeon Gold 6240 (18 cores, 2.6 GHz) × 2/node × 6 nodes with Intel Omni-Path Interconnect (216 cores in total)
- Intel Xeon Gold 6248 (20 cores, 2.5 GHz) × 2/node × 4 nodes with Intel Omni-Path Interconnect (160 cores in total)
- AMD EPYC 7502 (32 cores, 2.5 GHz) × 2/node × 2 nodes (128 cores in total)
- 東京大学物性研究所スーパーコンピュータ共同利用
- High Performance Computing Infrastructure (HPCI)